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GA4データを”見るだけ”から”動く”へ ― KAITRYが実現した、AIマーケティングレポート自動化の全貌 ―

GA4データを”見るだけ”から”動く”へ ― KAITRYが実現した、AIマーケティングレポート自動化の全貌 ―
株式会社カイトリー

株式会社カイトリー

https://kaitry.com/

会社概要

株式会社KAITRYは、AI技術を活用したマンションの即時買取・販売プラットフォーム(https://kaitry.com/)を運営しています。いわゆる「iBuyer(アイバイヤー)モデル」を採用し、査定から取引まで高効率に支援する不動産テック企業です。

課題

GA4でイベント計測はできていたが、数字を定期的に追う仕組みがなかった
データ確認は都度手作業でアクセスし、担当者が目視でチェックするスタイル
分析・考察できる人間がいないと数字が活かせない、属人化した状態

解決法

n8nで日次・週次・月次のGA4レポートを完全自動化
ローカルLLM(Ollama)によるAI分析で、機密データを社外に出さずに誰でも即座にインサイト・改善提案を取得可能
Slackへの自動配信で、ツールを開かなくても毎日・毎週・毎月数字が届く仕組みに

成果

マーケティングレポート作成・確認工数を月間20〜30時間からゼロに削減
30%以上のセッション急落など重大な異常を自動検知・即時アラート
分析担当者不在でもAIが改善アクションを提案する、属人化しない設計を実現

GA4を導入している企業はすでに多く、アクセス解析の環境自体は整っています。しかし、実際には「データは取れているのに活用できていない」という状態に陥っているケースも少なくありません。

本記事では、GA4のデータを日次・週次・月次で自動分析し、Slackにレポートを配信するマーケティング自動化システムの構築事例を紹介します。n8nによるワークフロー自動化とローカルLLM(Ollama)を組み合わせることで、データ分析の脱属人化と運用コスト削減を実現しました。

なぜGA4のデータが活かせていなかったのか

GA4の導入自体は多くの企業で完了しています。セッション数・コンバージョン数・直帰率といった数字は取得できているものの、「誰が」「いつ」「どう活かすか」という運用設計がないと、データは実務に活用されません。

KAITRYにおいてもGA4の計測環境は整っていましたが、次のような課題が残っていました。

定期的に数字を追えていない

担当者が思い立ったときだけGAを確認する形になっており、週次・月次での振り返りサイクルが回っていませんでした。施策の効果検証も遅れがちで、問題に気づくまでのタイムラグが発生していました。

手作業による目視確認

確認のたびにブラウザでGAにアクセスし、レポートを手動で読み込む必要がありました。この作業は一見単純に見えますが、担当者のカレンダーを圧迫し、ヒューマンエラーも発生しやすい工程です。

属人化した分析

数字を見て「なぜこの変動が起きたのか」「次に何をすべきか」を考えられる人材がいなければ、データはアクションにつながりません。マーケティング専任の分析担当者がいない体制では、GAのデータを持て余してしまう状況になりやすいのです。


n8nを選んだ理由

今回のシステム構築では、ワークフロー自動化ツールとしてn8nを採用しました。

n8nはオープンソースのノーコード/ローコード自動化プラットフォームです。ZapierやMakeと同種のツールですが、セルフホスティング(自社サーバーへの設置)が可能な点が大きな特徴です。

GA4 APIへのアクセス、ローカルLLMの呼び出し、Slackへの通知など、複数のサービスを組み合わせたワークフローを視覚的に構築できます。

セルフホスティングによるコスト最適化

SaaS型の自動化ツールは便利ですが、実行回数や接続数に応じた従量課金が発生します。n8nをDockerで自社サーバーに設置することで、月額コストを抑えながら無制限にワークフローを実行できる環境を構築しました。

カスタムロジックの自由度

GA4 APIのレスポンスを加工して前週比を計算したり、異常検知のしきい値を独自設定したりするには、柔軟な処理が必要です。n8nにはJavaScriptコードノードが用意されており、ビジネスロジックを自由に組み込むことができます。

n8nとは


ローカルLLMを採用した理由

今回のシステムにおいて重要な技術判断のひとつが、ローカルLLM(Ollama)の採用です。

マーケティングデータには、セッション数・コンバージョン数・売上・広告成果といった機密性の高い情報が含まれます。これをクラウドAIに送信すると、外部サーバーにデータが渡るリスクが発生します。

企業によってはコンプライアンスや情報漏洩の観点から、クラウドAIの利用を制限している場合もあります。

そこで採用したのが、自社サーバー上で動作するOllamaというローカルLLM実行環境です。今回はMeta社が開発したLlama 3.1(8Bモデル)を使用しています。

GA4のアクセスデータや売上情報などの機密データを外部に送信することなく、AI分析を実行できる安全な仕組みを実現しました。

比較項目 クラウドAI ローカルLLM
データの送信先 外部サーバー 自社サーバー内
機密データリスク あり なし
API利用料 従量課金 不要
分析品質 高精度 実用十分

Ollamaについて


仕組みの全体像

構築したシステムは、日次・週次・月次の3つのレポートワークフローで構成されています。

ワークフロー 配信タイミング 比較期間 主な分析内容
日次レポート 毎日20:00 前週同曜日比 全体指標・チャネル別・異常検知
週次レポート 毎週月曜9:00 前週比 LP分析・キャンペーン評価
月次レポート 毎月1日9:00 前月比 KPI達成率・チャネル寄与度

各ワークフローは「GA4 APIでデータ取得 → データ集計 → ローカルLLMで分析 → Slackへ送信」という流れで動作します。


日次レポート

日次ワークフローは毎朝8時に起動し、「昨日のGA4データ」を取得してSlackに配信します。

※画像の数値等は機密情報のためダミーを挿入しています。

取得するデータ

  • アクティブユーザー数・新規ユーザー数
  • セッション数
  • CV数(キーイベント数)・CVR
  • 直帰率・平均セッション時間
  • チャネル別セッション数・CV数・CVR

曜日特性を除いた比較分析

前週の同曜日と比較することで、曜日特有の変動を除いた実態を把握できます。これにより、自然変動ではなく実際のトラフィック変化を検知できます。

Slack Block Kitによって、各指標の変化率や増減が視覚的に整理され、30秒以内にサイト状況を把握できるレポートになっています。


週次レポート

週次ワークフローは毎週月曜日の朝9時に起動し、先週1週間のパフォーマンスを分析します。

LP別パフォーマンス分析

上位10ページのセッション数・CV数・CVRを取得し、CVR順のランキングを作成します。どのページがコンバージョンに貢献しているかを把握できます。

キャンペーン別評価

広告キャンペーン単位でセッション数・CV数・CVRを確認し、前週比の変化を把握します。予算配分やクリエイティブ改善の判断材料になります。

AIによる来週アクション提案

ローカルLLMが週次データを分析し、「勝ち筋」「改善課題」「来週の優先アクション」を自動生成します。マーケターはAIの提案をベースに施策を検討できます。


月次レポート

月次ワークフローは毎月1日の朝9時に起動し、先月のマーケティング成果を総括します。

※画像の数値等は機密情報のためダミーを挿入しています。

KPI達成率の自動計算

KPI指標 目標 実績 達成率 評価
セッション数 設定値 自動計算 自動計算 達成/未達
CV数 設定値 自動計算 自動計算 達成/未達
CVR 設定値 自動計算 自動計算 達成/未達
売上 設定値 自動計算 自動計算 達成/未達

それぞれについて目標・実績・達成率が自動算出され、達成状況を一目で把握できます。

チャネル寄与度分析

各チャネルが売上やセッションにどの程度貢献しているかをシェア形式で可視化します。広告・オーガニック検索・SNSなどの重要度が明確になります。

AIによる来月戦略の提案

ローカルLLMがKPI達成状況やチャネル構造を分析し、「来月の優先施策」と「潜在リスク」を自動生成します。経営会議や月次レビューの資料としても活用できます。


異常検知の仕組み

日次ワークフローには異常検知機能も組み込まれています。通常レポートとは別に、異常値を検出した場合はSlackの専用チャンネルに即時通知が送られます。

検知する主な異常パターン

重要度 条件 通知内容
緊急 セッション−30% サイト障害確認
セッション−20% 流入チャネル確認
CV−25% LP確認
CVR−15% サイト体験確認
直帰率+20% ページ内容確認

これにより、サイト障害・トラッキングエラー・広告停止などの問題を人間が気づく前に検知できるようになります。


AIによる分析の脱属人化と導入効果

このシステムの最大の特徴は、分析できる担当者がいなくてもインサイトが得られる点です。

ローカルLLMがマーケティングアナリストの役割を担い、日次・週次・月次でインサイトと改善提案を自動生成します。

  • 日次:数値変動の仮説と懸念事項
  • 週次:勝ち筋と改善課題
  • 月次:KPI評価と戦略提案

導入前後の変化

項目 導入前 導入後
データ確認 手動確認 自動配信
異常検知 後から発見 即時アラート
分析 担当者依存 AI自動生成
改善提案 会議で検討 AIが提示

一般的にマーケティングレポート作成には月20〜30時間の工数がかかります。本システムにより、その作業時間をほぼゼロに削減しながら、むしろ情報の更新頻度と精度を高めることができました。


再現可能なマーケティング自動化モデル

今回の仕組みは、大規模な開発体制がなくても再現可能です。必要なのは以下の環境だけです。

  • GA4の計測環境
  • n8nのセルフホスティング環境(Docker)
  • OllamaによるローカルLLM
  • Slackワークスペース

GA4を導入しているものの、データ活用が進んでいない企業にとって、このモデルはすぐに実装できる実践的なDX施策です。

「データはあるのに活かせていない」という状態を脱却し、日々の意思決定をデータドリブンに変える仕組みとして、多くの企業で応用できる可能性があります。


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